国際母語デーの由来と意義
2月21日は「国際母語デー(International Mother Language Day)」です。この日は、言語と文化の多様性を守り、母語の大切さを再認識することを目的として、ユネスコが1999年に制定し、2000年から正式に実施されています。
この記念日の由来は、1952年に当時のパキスタン(現在のバングラデシュ)で起こった「ベンガル語運動」にあります。当時のパキスタン政府はウルドゥー語のみを公用語と定め、ベンガル語を話す人々の言語的権利を認めませんでした。そのため、多くの学生がデモを行いましたが、警察の発砲によって命を落とす事件が発生しました。この出来事がきっかけとなり、ベンガル語を公用語とする運動がさらに広がり、最終的には1971年のバングラデシュ独立へとつながりました。
母語は単なるコミュニケーションの手段ではなく、その地域の文化や歴史、アイデンティティを象徴するものです。しかし、現在、世界には約7,000の言語があるとされていますが、その多くが消滅の危機に瀕しています。日本においても、アイヌ語や琉球諸語などの先住民族の言葉、さらには各地の方言が使われなくなりつつあります。
言葉に対する私の思い出
私は子どもの頃、祖父母の話す方言がよく分からず、会話の中で意味を尋ねることがよくありました。標準語を話す環境で育ったため、方言は馴染みがなく、まるで別の言葉のように感じたものです。しかし、祖父母が話す言葉には温かみがあり、時には独特のユーモアもありました。意味が分かるようになると、より親しみを感じるようになり、方言を聞くたびに祖父母のことを思い出すようになりました。
また、海外旅行の際に現地の言葉を少しでも話すと、相手の表情が柔らかくなったり、親しみを持って接してくれたりすることがありました。言葉は単なる情報伝達の手段ではなく、心の距離を縮める役割も果たしているのだと実感しました。
日本語にも美しい表現が多くあります。「ありがとう」という言葉ひとつを取っても、場面によって言い方が変わり、感謝の気持ちをさまざまな形で伝えることができます。そうした言葉の奥深さに触れるたびに、日本語の魅力を改めて感じています。
母語を大切にするために
国際母語デーにちなんで、改めて言葉の大切さについて考えると、私たちにできることは多いと感じます。例えば、地域の言葉を意識的に使うことや、失われつつある言語について学ぶことも、その一つではないでしょうか。また、日本語を正しく使うことも大切であり、言葉の乱れが指摘される現代において、表現の豊かさや美しさを見直す機会を持つことも必要だと思います。
言葉には人と人をつなぐ力があります。だからこそ、ただ話すだけでなく、「どのように伝えるか」「どんな言葉を選ぶか」を意識することが重要です。特に、SNSやメールなどの文字を介したコミュニケーションが主流になった今、一つの言葉が相手に大きな影響を与えることを忘れず、大切に使っていきたいと考えます。
今日は「国際母語デー」ということで、日常的に何気なく使っている言葉について改めて考えた一日でした。言葉は生きていて、私たちの文化やアイデンティティを形作るものです。これからも、母語を大切にし、より豊かに使っていきたいと思います。